宮崎県立看護大学(回答例 R3のみ限定公開)
- 副塾長
- 3月5日
- 読了時間: 6分
執筆者:副塾長
宮崎県立看護大学の小論文指導について、
どのように行っているか、参考にR3の資料を下記公開します。
問題文は県立看護大学HPからダウンロードしてください。
他の大学を志望される方の参考にもなります。
また、県立看護大学に限らず、小論文の指導は行っているので、
ご要望の方はご相談ください。
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話の展開(構成)
学生の体験から始まる導入
ある学生が、スマホが自分にとって「あたりまえ」の存在になったと述べる。
LINEは最初は業務連絡用だったが、いつの間にか「つながるためのツール」へと変わった。
その背景には、「誰かとつながっていたい」「孤独はいやだ」という感情がある。
筆者の考察:「生の状態」の変化
スマホが普及したことで、人々のつながり方が変わった。
SNSの利用は「時間つぶし」だけでなく、「つながり続けること」そのものが目的になっている。
これは、スマホが生み出した「新たな生の状態」だと筆者は考える。
井戸端会議との比較
かつての「井戸端会議」は、日常生活の中で自然に生まれた対面での雑談の場だった。
しかし、LINEは生活の一部ではなく、「つながること自体を確認するツール」に変わった。
井戸端会議とLINEには 「対面か否か」「生活に根ざしているか否か」 という2つの大きな違いがある。
筆者の結論
LINEのやりとりは、単なる情報交換ではなく、「つながっていることを確認するためのもの」になっている。
井戸端会議とは異なり、LINEは「孤独を回避する手段」としての側面が強い。
現代人のコミュニケーションは、SNSによって大きく変化し、「つながること」が新たな生の状態になった。
このように、学生の体験 → スマホの影響 → 井戸端会議との比較 → 現代のつながりの本質 という流れで話が展開されている。
〇この文章の200字要約
(1)要約のポイント
主題を明確にする
スマホが若者にとって「あたりまえ」のものになっていること
SNS(特にLINE)が人とのつながりを維持する重要な手段になっていること
筆者の主張を簡潔にまとめる
スマホを使うことで「つながっていたい」という欲求が強まり、新たな「生の状態」が生まれている
井戸端会議と比較し、LINEは対面ではない・生活の場に根ざしていないという点で異なる
具体例は簡潔に
学生の「LINEを業務連絡に限定するつもりだったが、つながるためのツールになった」という体験を簡潔に紹介
183字
スマホが若者にとって「あたりまえ」の存在になり、特にSNSが人とのつながりを維持するための重要な手段になっている。ある学生は、当初業務連絡に限るつもりだったLINEが、気づけば「つながり続けるためのツール」へと変化した。その結果、SNSは、人々が常につながることを求める新たな「生の状態」を生み出した。SNSは井戸端会議とは違い、対面のコミュニケーションや生活の場と切り離されている。
192字
スマホが若者にとって不可欠な存在になり、特にSNSが人とつながるための重要な手段になっている。ある学生は、LINEを業務連絡のためだけに使うつもりだったが、次第に人とつながり続けるためのツールへと変わった。LINEと「井戸端会議」と比較してみると、LINEは対面でのやり取りがなく、生活の場に根ざしていない点が異なる。SNSの普及によって、人々は「つながり続けること」自体を求める新たな生の状態に移行している。
191字
ある学生の体験をもとに、スマホが現代の若者にとって当たり前の存在となり、特にSNSが重要な役割を果たしていると述べる。SNSは単なる連絡手段ではなく、「つながっていたい」という欲求を満たすツールへと変貌した。これを過去の井戸端会議と比較し、SNSは対面での交流がなく、生活の営みと切り離されている点が異なる。そして、SNSの浸透によって、人々の生き方そのものが変化し、新たな「生の状態」が生まれた。
〇300字説明(難易度:激高)
「まさにスマホが彼にもたらした固有の新たな「生の状態」だと思うのです。」とはどういうことか。
(2)「固有の新たな『生の状態』」の説明のポイント
「生の状態」とは何かを明確にする
スマホやSNSが普及したことで、人々が常につながりを求めるようになり、それが当たり前になったこと
学生のエピソードをもとに説明する
業務連絡のためのLINEが、気づけば「つながり続けるためのツール」になった
「つながりたい」「孤独を避けたい」という感情が強まり、スマホが欠かせない存在になった
この変化の本質を指摘する
かつては人々が自然とつながる場があったが、スマホがその役割を担い、つながること自体が目的化した
単に便利なツールが増えたという話ではなく、人々の生き方・考え方そのものを変えた
300字
「固有の新たな『生の状態』」とは、スマホによって生まれた新しい人間関係のあり方を指している。ある学生の体験から分かるように、スマホやSNSは単なる連絡手段ではなく、「誰かとつながっていること」そのものが目的化している。もともと業務連絡のツールだったLINEが、気づけば人とのつながりを確認するための手段へと変化し、孤独を回避するために不可欠なものになってしまった。このように、スマホを介して常につながりを求める感情が生まれ、それが人々の生活の前提になってしまったことを「新たな生の状態」と表現している。これは、単に便利なツールが増えたという話ではなく、人々の生き方そのものが変わってしまったことを意味している。
〇400字説明(難易度:易)
「私は大きく二つの点でこれらは異なっていると思います。」という筆者の見解についてあなたはどう思うか。自分の体験や具体例をもとに400字以内で述べなさい。
(3)筆者の見解に共感する文章のポイント
筆者の主張を明確にする
LINEと井戸端会議は「対面か否か」「生活に根ざしているか」で異なる
筆者の意見に沿った具体例を挙げる
LINEでは感情が伝わりにくいこと
井戸端会議は日常の中で自然に生まれたが、LINEは「つながりたい」という意識的な行動で成り立っている
筆者の主張が現代社会を的確に捉えていることを強調する
LINEの目的が「つながること」ではなく「つながっていることの確認」に変化したことに共感する
346字
筆者は、LINEのやりとりと井戸端会議が異なる点として、「対面でのやり取りがあるか」「生活の場に根ざしているか」の二点を挙げている。この意見には共感できる部分もあるが、一方で現代の状況に即して考えると、必ずしも完全に異なるとは言えないと思う。例えば、私は学生時代、家族と離れて暮らしていたが、毎晩LINEで何気ない会話をすることで、家族とのつながりを感じることができた。このやり取りは、単なる「雑談」ではあるものの、精神的な安心感を与えてくれる点で、井戸端会議の役割と似ているとも言える。しかし、筆者が指摘するように、LINEでは相手の表情や声のトーンが伝わらず、直接対面するコミュニケーションとは異なる部分もある。つまり、SNSによるつながりは、対面とは異なる形での「新しいつながり方」になっていると考えられる。
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